クリエーション|クリエイティブ ファッション

事業計画 クリエーション

1.事業名称

テキスタイルおよびクリエイティブ分野におけるグローバルな人材育成プロジェクト

2.職域プロジェクトの名称

グローバルファッションクリエーター人材養成産学コンソーシアム

関係するコンソーシアムの名称(職域プロジェクトのみ記入)

クリエイティブ分野における専門人材養成産学コンソーシアム

3.分野名

クリエイティブ(コンテンツ、デザイン・ファッション等)

4.代表機関

■ 代表法人

法人名 学校法人 中西学園
学校名 名古屋学芸大学
所在地 〒470‐0196
愛知県日進市岩崎町竹ノ山57

5.産学官連携コンソーシアム又は職域プロジェクトの構成員・構成機関等

(1)構成機関

構成機関(学校・団体・機関等)の名称役割等都道府県名
1 名古屋学芸大学大学院 総括 愛知県
2 文化ファッション大学院大学 委員 東京都
3 杉野服飾大学 委員 東京都
4 名古屋学芸大学 委員 愛知県
5 名古屋ファッション専門学校 委員 愛知県
6 有限会社 テ・アシュ・デ ラ メゾン 委員 東京都
7 (財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 委員 愛知県
8 森技術士事務所 委員 愛知県
9 ナゴヤファッション協会 委員 愛知県

(2)協力者等

氏名所属・職名役割等都道府県名
安藤 文子 名古屋学芸大学 メディア造形研究科 教授 代表(総括) 作品制作指導 愛知県
馬場園 晶司 文化ファッション大学院大学 助教 大学院教育  作品制作指導 東京都
安部 智子 杉野服飾大学 准教授 大学学部教育 作品制作指導 東京都
内田 和邦 名古屋学芸大学 メディア造形学部 
ファッション造形学科 教授
ファッションショー企画・演出 愛知県
井後 治子 名古屋ファッション専門学校 校長 専門教育 作品制作指導 愛知県
柴田 正康 (財)一宮地場産業ファッション
デザインセンター 事務局長
展示企画指導 愛知県
畠山 巧 有限会社 テ・アシュ・デ ラ メゾン 代表 デザインアドバイザー 東京都
森 益一 森技術士事務所 所長 テキスタイル企画アドバイザー 愛知県
中島 幸介 中伝毛織株式会社 代表取締役社長 テキスタイル製作アドバイザー 愛知県
馬場 巌 ナゴヤファッション協会 事務局長 プレゼン指導 アドバイザー 愛知県

6.事業の内容等

(1)事業の概要

昨年度に実施した調査結果を基に、教育機関と産業界が連携した教育機関との共同事業、企業との連携事業、インターンシップ、ファッション業界における先進的な教育機関との連携等の事業を通じて、グローバルな視点を有した高度な専門職業人の養成を図る。まず今年度は企業との連携事業、多様な教育機関による共同事業等を素材開発・製品製作等で具体化し、成長分野において中核となる実践的な人材養成システムの基盤を構築する。

(2)事業の内容について (職域プロジェクトにおける具体的な取組内容)

かつて、日本経済の牽引力であったファツション業界は、世界経済の中心となりつつある中国、急成長する東南アジア等の追い上げにより、大きな曲がり角に立っている。その状況下にあっても、日本製のデザイン性、品質性等は今なお、世界でもトップレベルであり、「made in Japan」の強みを維持してきた。我が国における同分野の再構築を促すには、その特性を生かして時代が求める新製品の開発を促進することにより、改めて成長分野として期待できるものと考えられる。そのためには、これまで以上にグローバルな視点に立ちファッション分野で活躍できる総合力を持った人材を養成することが急務である。

この事業は、ファッション分野における国際社会に対応した人材養成を目的に、平成23年度においてはその具体策を検討し、取り分け、尾州産地に着目して、視察、分析を行い、具体的なプログラムを構想した。業界専門家、工場経営者、現場で働く人々ヘのインタビューや協議等の結果、日本の産業特色を生かすためには、素材の重要性に立ち返り、一層の理解を深めることが、今後の日本におけるクリエーション力の強化につながるという結論に達した。

平成24年度はこの結果を実践に移すため、次のような取り組みを計画した。

ファッションの世界は幅広いが、なかでもクリエーションに関する分野において活躍できる人材を育成することは不可欠で、関係諸団体、企業、大学、専門学校を始め、可能であれば、より若い世代からの養成を意図して家政系の高等学校とも連携を図り、即戦力となる専門的職業人を育てるシステムおよびルートの開発を考えることが喫緊の課題である。

他方、ファッション製品に高付加価値を付与するためには、新しいテキスタイルの開発が重要であるが、現状では学生、指導者ともにその知識・技術の習得の場を殆ど持っていない。そこで適切なモデルケースと成り得ると着目した尾州地区のウール素材をテーマとし、テキスタイルメーカーと将来のクリエーターとなる学生が、コラボレーションをしながら国際競争力のあるウールテキスタイルを研究し、将来、一流と称されるクリエーターを養成しようと計画した。

具体的な内容としては、各教育機関で力のある学生を選び、数年経てばその技術が途絶えると言われるような貴重な技術を持った職人の指導を受け、現場でのインターンシップを経験しながらテキスタイルの開発を学ぶ。ここでは学生間で切磋琢磨ができるとともに、職人の物つくりへの姿勢を学ぶ貴重な時間が体験できる。その後は開発した素材を使用し、学生各自がデザインした作品を制作する。開発する素材は10種類程度とし、15~20着の作品制作を予定している。その成果は、名古屋またはウール産地の一宮にて開催される展示会にて発表し、東京では業界人が多く参加する糸やテキスタイル展で、作りあげた素材および作品を展示する。よい素材ができれば、海外の素材展において企業のブースで展示することも可能となる。

その他、各教育機関においても展示を予定しており、少なくとも5か所以上でテキスタイルと作品展示を行い、クリエーターの卵達に刺激を与える機会も設ける。また、ウール素材展では、プロモデルによるファッションショーを実施し成果を発表する。

このような場に出展することで業界人をはじめとし、多くの人々の目に触れる機会が創出されるため、効果的なアピールができ、学生のプレゼンテーション能力育成の場ともなる。

更にそれぞれの場で学生は、プロの方々、業界人からの第三者評価を受けることもでき次への意欲に繋がっていく。それらの地道な努力の積み重ねで、技術はありながら、海外に比べてテキスタイルデザイン力が欠けているとされる、日本のテキスタイルを前進させることができる。テキスタイルがよければさらにレベルの高いデザインが考えられると思われる。

日本においては、それぞれの地場産業で計り知れない技術を有しているので、衰退しきらない間に、これらテキスタルメーカーとともに新しい素材を開発し、国内の主たる素材見本市で、テキスタルおよびデザイン・製作した完成品を発表する。

海外での展示は、パリのACADEMIE INTERNATIONAL DE COUP DE PARISにおいての展示を計画している。

この教育機関は、フランスで唯一の政府公認専門学校で、有名ブランドではそれぞれ80%以上が卒業生であり、各ブランドで活躍していることから、集客力もあるため依頼した。

その他、海外素材展での展示も模索していく。可能であれば、将来は海外においてもファッションショー形式で発表する。

産業界とのパイプが太くなることにより、事業終了後も連携することが可能で、教育、産業の両面で活力を与えることが期待できる。

(3)事業の実施意義や必要性について

① 当該分野における人材需要等の状況、それを踏まえた事業の実施意義

近年、ファッション業界ではあらゆる面で大きな変化がみられる。海外ブランドの日本への進出、逆に急速に規模を大きくした日本企業の世界進出など日々進化している。

また、日本製品の品質の良さは、海外においても高い評価を得ている一方で、価格の安さから、海外製品が大量に生産、輸入され、国内生産量が激減し、国内の縫製工場が空洞化しているのは周知のとおりである。現状のままでは、日本の非常に高い技術力は消え、ますます国内生産量は減少すると考えられる。

しかし、昨今、ヨーロッパのデザイナーたちも、改めて日本の物づくりの確かさに目を向けるようになりつつある。また、日本はデザインソースも豊富であることから、多くのデザイナーが日本を訪れるようになった。このチャンスを生かし、更に伝統ある技術を後世に伝えて継続させるためにも、教育機関と産業界が連携して新鮮さのある製品を生み出すことは重要である。農産物で盛んに行われているような作り手の分かる素材つくり、顔が分かり安心して使える素材生産まで発展させることができれば、他国には作り出せない特色あるテキスタイルや衣服製品が完成するようになり、国際競争力のある製品製造が可能になる。

年々、変化し、発展するファッション業界は、若い世代には魅力ある世界であり、一生の仕事に選ぶ学生も多い。これらの若者の期待を裏切らないためにも、これまでの工場現場、教育現場で行われている現事業モデルを改善し、次世代の物つくりを考える機会とする。与えられる素材に頼るだけの製品製造から、素材段階からデザイナーのアイデアが組み込まれた付加価値のある製品へと移行することにより、販売後の行く末まで企画者や生産者が責任を持つことのできる物つくりのシステムができる。

この事業が本格的に動き出すことにより、今までなかった学校間の交流や共同事業も盛んになり、テキスタイル企業でインターンシップを希望する学生が増加し、ファッションの世界で活躍できる多くの知識を持った学生の育成ができるものと思う。その観点から、これらのシステムが確立すれば、グローバルなスタンスで新たな需要や雇用を創生するファッション業界におけるビジネスモデルとしても期待できるものと考える。また、そこにファッション業界が再度成長分野として注目される可能性が存在する。

② 上記(2)の取組が求められている状況、本事業により推進する必要性

日本の製造業は空洞化しているといわれるが、ファッション業界も、中国、韓国をはじめとした東南アジアの追い上げによりかなり苦しい立場に立たされている。

これらの国で海外生産をはじめた初期段階では、すべて日本が指導的立場で物つくりが行われていたが、途上国も力をつけ、高級な品まで製造できるレベルまでになった。このままでは中国の技術者を来日させて、日本人が技術指導を受ける時代が到来することになるだろうとも言われるようになっている。

更に、日本国内の生産力は働く人の高齢化と工場の減少で、ますます技術力が低下するばかりである。中国を中心にビジネスを展開している日本の著名なデザイナーの話では、「中国では、日本製品の多くはブランド品扱いで中国製よりかなり高価であっても購入され、非常に人気がある」との話を聞いている。

13億5千人以上の人口を有する中国が、これから進出する日本の若手デザイナーの製品を好んで購入する時代が来れば、大きな市場になることも確かである。一刻でも早くその結果を出すためには、教育現場での新しい取り組みが必要であり、産業界とともにシステムを確立させることで、より良い結果が得られると推測できる。

貴重な技術力が完全に消失する前に、種々の対策を講じる必要があると思われるが、最も有効な手段は卒業生・在学生に対する教育をこれまでの縫製技術中心から、総合力を備えた教育に切り換える必要がある。ファッションデザイナーが素材開発を含めた力をつけることで、日本人の繊細な感覚を生かした製品製造ができると確信する。

即ち、この事業の狙いは、日本人の特性を活かし、世界のファッション業界をリードできる総合的なプロデュース力を持つ高度な専門的職業人を育成することにあり、そのためには教育機関と企業が永続的に一体化できる育成システムが不可欠と考える。

以上のような理由から継続してこの事業を推進する必要性があると考えられる。

(4)事業の実施計画について (連携体制、工程、普及方策、期待される活動指標(アウトプット)・成果目標及び成果実績(アウトカム)等)

1)連携体制

この事業は、立場の異なる学校が、同じ目標を持って取り組む点に大きな意義ある。委員としてテキスタイルデザイナーを加え、スタートからプロに学ぶ体制を整える。次いで、企画に対する考え方を指導しながら、素材生産工場の代表者から工場生産に対する考え方を学ぶ。ここには、指導に当たる教員に加える。最終作品に関しては、地元の公的機関の繊維フェアでも紹介しプロの評価を受ける。また、このプロジェクトが認可された折には、海外にも目を向けながら、産・学・官が一体となって連携できる体制を進めたい。

2)工程

次のような工程で、精力的に取り組み、多くの業界人や学生に結果を公表する。実施工程は別紙資料に詳細を添付

①委員会
2012年 9月、10月、11月、 2013年 1月、2月、3月  計6回

②実施行程
・普及のための素材セミナー (場所:名古屋・東京)
・テキスタイル開発についての検討会(素材デザイン)
・産地における研修(見学と開発打ち合わせ)
・製品のデザイン
・作品制作
・展示、ショーによる発表

3)普及方策

・関係機関に今回の目的を盛り込んだ案内を1,000通発送
 繊維染色資材メーカー   200通
 アパレル業界   250通
 副資材メーカー   50通
 行政・関連団体・組合   50通
 デパート・専門店   25通
 大学・専門学校・高等学校   400通
 その他   25通
・結果報告書ならびに作品DVDを関係者に配布、発送する
・地場の団体行事においてその成果を展示・ショーで一人でも多くの業界人クリエーターにアピール
・大規模素材展での展示発表
・参加各教育機関における展示
・学会における事例発表(ポスター発表・報文)

4)アウトプット・アウトカム

◎期待される活動指標
・学校間の強い連携
・業界と学校のパイプ
・海外に視点を置いた物づくり強化

産地見学・セミナーに参加した者は、その内容を理解することにより、その後の活動に幅が広がり、担当した本人以外の周辺学生にも影響を与えることができる。
また、布の誕生からかかわることによりものつくりへの意欲がさらに大きくなる。これらの研修から得た豊富な知識を駆使して作品を作り上げる学生の未来に対する夢は考えられないほどふくらむだろうと思われる。
教員も今回の体験を企業や学会・学会発表・セミナーでの講演・研究会で広く紹介し、指導者達に技術伝承の必要性をアピールする。

◎成果の実績(アウトカム)

今回、選んだテーマとなるウール素材は、イタリアと並んで日本は織物生産、染色加工技術で高い実力をもっている分野である。
若い人に力を結集させこのプロジェクトを機会にやる気を育て、技術を伝承するクリエーターの育成と地場産業の技術を後々まで伝えるためのプログラムを完結させる。
世界に誇れる製品を作り出すことができれば必ず注目され、企業の動きが一段と活発となる。

(5)事業終了後の方針について(継続性、発展性 等)

本事業のファッション人材のためのプログラムつくりの成果を、展示会やショーの案内、報告書の発送などにより、関連団体・教育機関・業界に十分周知徹底する。素材つくりから行うことは時間もかかり、それぞれの通常カリキュラムと同時進行で作品の完成、発表までこぎつけるにはかなりの努力が必要になる。

しかし、今回の教育機関の5教育機関は幸いにも日本国内の大規模なコンテストで多くの学生が入賞を果たし、上位を獲得するなど国内ではリーダー的存在であることから、他の教育機関への影響もかなり大きいと考えられる。実際に昨年度のプログラムに参加したそれぞれの教育機関が、視察した工場とコンタクトを取り、今年度9月に、東京、名古屋から多くの学生が工場見学を予定するなど、早速、現場の教育に取り入れている。これらの企業の見学は不可能であったが、文部科学省が新しい試みをしていただいてることを知った企業が前向きに見学を許可されたのは大きな成果であり、よい結果を得ることができた。

この例からも、事業は、1年、2年の単位ではなく長い時間をかけて教育機関と産業界が密着な関係を持ちながら、継続していくことが大切と考える。今後は、この事業を機会に地場産業活性化とファッション産業の再生、国内生産の増強のスタートにする。この事業を短期間で終了しては、発展はないので少しづつでも続けたい。

大きな素材展示会での発表やショーでの発表はちろんであるが、参加した教育機関にはすべて展示の機会をつくり、その作品を全在学生に見学させ、事業の趣旨を徹底することも必要と考えている。まず、今年度はウールを主たる素材として取り上げたが、次年度は、関東地区の地場産業や伝統産業、次いで浜松の綿素材、北陸の合繊織物などへと幅を広げながら継続的に展開し、さらに大きく発展させたい。

最後に、現場の教育システムへの落とし込みについては、次の事項を実現する予定である。

昨年の事前調査に加え、この申請書類作成前に今年度も種々問い合わせを行った結果、素材メーカーも若い学生たちの考えを強く求めていることが判明した。そこで、学生を指導している教員へのアピールとして、繊維関連学会において、今回の事例を発表し、関心を喚起する。

ここでは、基礎教育と技術伝承の重要性を具体例で紹介し、学生指導に当たる素材担当教員、被服造形教員の認識を変える努力を続ける予定である。

さらに、今年度の事業終了後も、他の大学や専門学校に働きかけて輪を広げ、毎年2月に開催されるウール素材展で展示を行う。

成果物