介護|医療・福祉・健康 介護・看護

事業計画 介護

1.事業名称

介護従事者を対象とする「実務者研修eラーニング」の構築による中核的介護専門人材の育成

2.職域プロジェクトの名称

介護分野の中核的専門人材育成プロジェクト

関係するコンソーシアムの名称

介護人材・看護人材養成コンソーシアム

3.分野名

医療・福祉・健康

4.代表機関

代表法人

法人名学校法人 敬心学園
学校名日本福祉教育専門学校
所在地〒169-0075
東京都新宿区高田馬場1丁目32番15号

5.産学官連携コンソーシアム又は職域プロジェクトの構成員・構成機関等

(1)構成機関

構成機関(学校・団体・機関等)の名称 役割等 都道府県名
1 敬心学園・日本福祉教育専門学校 主幹事 東京都
2 北斗文化学園・北海道福祉教育専門学校 調査実施 北海道
3 昌賢学園・群馬医療福祉大学短期大学部 実証 群馬県
4 秋葉学園・成田国際福祉専門学校 調査実施 千葉県
5 日本介護福祉士養成施設協会 実証 東京都
6 東京都専修学校各種学校協会 調査実施 東京都
7 私立専門学校等評価研究機構 開発 東京都
8 東京YMCA医療福祉専門学校 開発 東京都
9 ユマニテク医療福祉大学校 開発 三重県
10 社会福祉振興・試験センター 開発 東京都
11 法律文化社 開発 京都府

 

(2)協力者等

氏名 所属・職名 役割等 都道府県名
澤田豊 北斗文化学園・北海道福祉教育専門学校・理事長 調査実施 北海道
土屋昭雄 昌賢学園・群馬医療福祉大学短期大学部・准教授 実証 群馬県
佐藤隆志 秋葉学園・成田国際福祉専門学校・学校長 調査実施 千葉県
山口保 日本介護福祉士養成施設協会・常務理事 実証 東京都
有我明則 東京都専修学校各種学校協会・事務局長 調査実施 東京都
真崎裕子 私立専門学校等評価研究機構・事務局長 開発 東京都
八尾勝 東京YMCA医療福祉専門学校・学校長 開発 東京都
大橋正行 ユマニテク医療福祉大学校・学校長 開発 三重県
遠藤茂 社会福祉法人千歳敬心苑・施設長 調査実施 東京都
肥後義道 社会福祉法人池袋敬心苑・施設長 実証 東京都
二渡努 社会福祉振興 試験センター・社会福祉専門員 開発 東京都
田靡純子 法律文化社・代表取締役社長 開発 京都府
漆原克文 日本福祉教育専門学校・副校長 実証 東京都
藤山利美 日本福祉教育専門学校・専任教員 調査実施 東京都

 

(3) 産学官連携コンソーシアムの下部組織

名称(調査分科会)      
氏名 所属・職名 役割等 都道府県名
澤田豊 北斗文化学園・北海道福祉教育専門学校・理事長 調査実施 北海道
佐藤隆志 秋葉学園・成田国際福祉専門学校・学校長 調査実施 千葉
有我明則 東京都専修学校各種学校協会・事務局長 調査実施 東京
遠藤茂 社会福祉法人千歳敬心苑・施設長 調査実施 東京
藤山利美 日本福祉教育専門学校・専任教員 調査実施 東京
名称(開発分科会)      
八尾勝 東京YMCA医療福祉専門学校・学校長 開発 東京
大橋正行 ユマニテク医療福祉大学校・学校長 開発 三重
真崎裕子 私立専門学校等評価研究機構・事務局長 開発 東京
二渡努 社会福祉振興 試験センター・社会福祉専門員 開発 東京
田靡純子 法律文化社・代表取締役社長 開発 京都
名称(実証分科会)      
土屋昭雄 昌賢学園・群馬医療福祉大学短期大学部・准教授 実証 群馬
山口保 日本介護福祉士養成施設協会・常務理事 実証 東京
肥後義道 社会福祉法人池袋敬心苑・施設長 実証 東京
漆原克文 日本福祉教育専門学校・副校長 実証 東京

 

名称(eラーニング研究会)      
山下弘訓 NPO法人e-コンテンツ研究所・研究員 研究・開発 東京
中田康宏 デジタル・ナレッジ・文教ソリューション事業部リーダ 研究・開発 東京
後藤孝徳 NPO法人教育支援システム研究機構・事務局長 研究・開発 東京

 

6.事業の内容等

(1)事業の概要

 高齢社会の加速により、要介護者・要介護支援者の人数は年々増加の傾向にある。これに伴い、現場で求められる介護サービスも高度化・多様化しつつあり、介護専門人材には今まで以上に高度な専門知識やスキルが必要となってきている。

 このような介護をめぐる状況の変化の中、平成19年の介護福祉士資格に関する法改正により、介護福祉士資格を取得するためには、三年間の実務経験に加えて最大450時間の「実務者研修」の受験が義務付けられることとなった。また、養成課程修了者にも国家試験の受験が義務化された。現在、新制度の施行に向けて、介護実務の経験者を対象とする「実務者研修」の教材や教育プログラムの整備が急がれている。

 そこで本事業では、平成23年度の文部科学省委託事業「福祉分野の中核的専門人材の調査とスキル標準の開発」の成果を踏まえた発展的な活動として、「実務者研修」のeラーニングモデル教材(プロトタイプ)を開発と評価を中心とする取り組みを行う。

 eラーニングモデル教材の開発と評価を通して、中核的専門人材の育成を目的とする「実務者研修」の学習基盤の整備を促進していく。

 また、eラーニングモデル教材の開発と評価を踏まえ、次年度には専門学校の通信制・単位制を基盤とする実務者研修の通信教育課程の設計も行う。

 これら一連の取組により、eラーニングを活用した専門学校の新しい教育の仕組みの具体化を図り、介護分野における中核的専門人材(介護福祉士)の育成に寄与することを目的とする。

(2)事業の内容について

 これまで介護福祉士国家試験受験資格は三年間の実務経験によって得ることができたが、2015年度から三年間の実務経験に加えて、450時間の「実務者研修」の受講が義務付けられることになる。また、介護福祉士養成課程に学ぶ学生も国家試験の受験が義務付けられる。

 このような状況下において、介護の質保証・向上を図るべく介護福祉士資格の保有者を確保していくためには、個々人の学習をきめ細かく支援する環境・仕組みが不可欠となる。特に自分のペースで時間的・地理的な制約を受けずに学習できるeラーニングは極めて有効なアプローチであるとの見解から、本事業では介護福祉士をめざす介護職員のキャリアアップ支援を目的に、eラーニングを中心とする通信教育システムの構築をはじめとする以下の取り組みを行う。これらの取り組みでは平成23年度委託事業の成果の活用を図っていく。

(1)ニーズ調査

(2)専門学校の通信制・単位制に基づく「実務者研修」通信教育の設計

(3)eラーニングモデル教材の開発

(4)eラーニングモデル教材の評価

(1)ニーズ調査の実施

 介護福祉士のキャリアアップを目的とするeラーニングによる通信教育の展開と普及促進に向けて、介護施設や介護職員、養成施設などに対しeラーニングや通信教育についてのニーズ調査を行う。併せて、PCやインターネットの利用状況や個人のITリテラシーなどといったeラーニングを展開する際に前提となる基本事項や能力、勤務と学習の両立の阻害要因などについても調査する。これにより、受講ニーズやeラーニング・通信教育を展開する上での課題などを明らかにする。

(2)専門学校の通信制・単位制に基づく「実務者研修」通信教育の設計(平成25年度実施)

 実務者研修の通信教育はすべてをeラーニングで行うのではなく、印刷教材を用いた独習とスクーリングとのブレンディングとする。そこで、実務者研修450時間のカリキュラムを精査・検証し、通信教育による提供方式の基本設計を行う。具体的には、学習内容・目標に照らしてカリキュラムを以下の提供方式に区分し、それぞれについて学習ユニットの基本設計や運営方法の明確化を行う。

① 印刷教材による通信授業

② eラーニングによる通信授業

③ スクーリングによる対面授業
 特にここでは、専門学校の通信制・単位制での運用を前提として通信教育の基本設計を行う。
 また、eラーニングによる通信授業については、教育内容の特徴とeラーニングの特性などを勘案し、eラーニング化が有効に働く学習領域を重点的に具体化する。この取り組みは平成24年度の活動成果を踏まえて平成25年度に実施する(図5)。

(3)eラーニングモデル教材の開発

 実務者研修のカリキュラム内容や特徴の分析を通して、印刷教材のみによる独習では習得が難しい科目・領域や、スクーリングを補完する必要がある科目・領域などの検討を行い、それぞれに適したeラーニングのモデル教材(プロトタイプ)を開発する。現在、市販・流通しているeラーニングには様々なタイプがあるが、本事業ではタイプの異なる三種類のモデル教材を開発する。現在想定しているのは以下のようなモデル教材である。これらを基本案として検討を行い、具体化を進めていく。

 平成24年度はeラーニングの外部仕様の設計及びプロトタイプの開発を行い、コンテンツの構築は平成25年度の取組の中で行う(図5)。コンテンツの設計・構築に際しては看護分野との共通領域・共有可能領域についても検討する。

 なお、以下のeラーニングはいずれも印刷教材との併用を前提とする。想定の印刷教材は社団法人日本介護福祉士養成施設協会による実務者研修対応のテキスト教材である。

 ① 実技学習のeラーニング
 介助技術などの実技は、印刷教材の図や写真だけでは理解を深めることが難しい。DVDなどの視聴覚教教材も市販されているが、一般に価格が高く個人で購入するには負担が大きい。養成施設においても、運用コストなどの理由から導入が躊躇されるケースが多い。これに対してeラーニングで効果的な教育が行われる場合には低コストで実技の映像を使った教材を提供することが可能であり、印刷教材のみでは限界のある実技についての体験的な学習も効果的に行うことが期待できる。また、実務者研修450時間の中には、医療的ケアや認知症の理解が含まれており、これを実技学習においてeラーニング化することを試みる。

 ② 講義型学習のeラーニング
 実務経験者にとって重要な学習のひとつに系統的な知識の修得が挙げられる。豊富な実務経験を系統的な専門知識でつなぐことで、経験の価値は大きく高まる。講義による知識伝達中心のeラーニングは、この系統的な知識の学習に有効な方法である。その一方で、eラーニングは知識伝達型の教育には高い費用対効果が見込めるが、事例研究のような明確な解のない学習については不向きと見なされた時期もあった。しかし近年のICTやeラーニングテクノロジーの進展により、これも解消されつつある。

 対人援助業務である介護分野では絶対的な解が存在しないケースもあり、問題解決に至るプロセスが重視されることもある。このような学習テーマについて、講義に電子掲示板やSNSなどのコミュニケーションツールを併用することで双方向のやり取りが可能となり、より深い学びへと展開させていくことが見込まれる。このような座学型eラーニングの発展性についても検討を加えていく。その際、講師選定の方策についても議論する。

 ③ 知識定着学習のeラーニング
 学んだ知識を実務で活かすためには、知識の「理解」から「定着」を支援する仕組みも重要である。そのためには「理解したことがら」を繰り返し学んで「身に付けていく」プロセスをサポートする環境が必要となる。例えば、近年急速に普及しているスマートフォンやタブレットなどで利用できるモバイル型のeラーニングを構築することで、通勤・通学時や勤務中でのスキマ時間などを有効活用した効率的・効果的な学習が可能となる。この仕組みは、介護福祉士国家試験の受験対策にも有効と考えられる。

 以下に上記三タイプのeラーニングモデル教材の画面イメージを例示する。

(4)実証授業の実施と評価

 平成24年度は開発したeラーニングモデル教材の操作性や機能仕様などを中心に評価を行い、コンテンツ設計へとつなげていく。平成25年度は介護施設の介護従事者及び養成施設の学生を対象に、開発したeラーニングモデル教材を使用した実証授業を行う。その目的はモデル教材の内容構成や難易度などの適切性や有効性を検証することである。対象者は介護福祉士資格の取得をめざす者とする。また、対象者の上長や介護福祉士有資格者、教員などにも試用してもらい、複数の異なる視点から評価することも検討する。

 実証授業の学習効果を検証するための評価基準は、昨年度の委託事業で策定した「介護人材スキル標準」を参考とし、本事業の内容に合わせて必要なカスタマイズを行い活用を図る。その他、対象者に対するアンケートまたはヒアリング、eラーニングのアクセスログ解析など総合的な観点から検証を行う。

 検証結果を踏まえ、モデル教材の見直しや次年度に向けたeラーニング・通信教育の在り方などについて取りまとめる。

(3)事業の実施意義や必要性について

① 当該分野における人材需要等の状況、それを踏まえた事業の実施意義

 ▼他の先進諸国に先駆けて高齢化が進む日本

 1970年、日本は総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合が7%を超える高齢化社会を迎え、24年後の1994年には14%を超えて高齢社会となった。今後もこの傾向は継続し、内閣府の推計によれば、2005年では2,576万人(総人口の20%)の高齢者が2025年には3635万人(同31%)にまで増える。このうち75歳以上に限れば2005年から2025年の間でほぼ倍増(1.9倍)する。

 社会の高齢化が進めば、それに伴い介護を必要とする高齢者の人数も増えることになる。介護保険制度が始まった2000年の要介護(支援)者は218万人であったが、2009年では469万人と大幅に増えている。要介護認定率に着目すると、65歳以上が4.5%であるのに対し75歳以上ではその約6倍にあたる29.8%であり、今後75歳以上の高齢者が増える時代を迎えていく中で高齢者介護はより一層社会的課題としての重要性を帯びることになる。

 ▼高まる介護専門人材の需要-2025年には現在の倍の介護人材が必要との試算

 このような社会の高齢化から、介護の担い手となる専門人材の需要が高まっていく。高齢者が総人口の3割を占めると予測される2025年には、212~255万人の介護職員が必要との試算もある。これは2007年時点における117万人の介護職員の二倍前後の人数である。

 現状においても恒常的に人材不足が叫ばれている介護職員だが、2000年の時点で54.9万人、その後社会の需要に応えるように年々増加し2008年には128.0万人と2000年の二倍以上にまで増えている。

 しかしながら介護現場に対する様々な実態調査で報告されている通り、人材不足が解消されている状況にあるわけではない。例えば敬心学園が平成23年度文部科学省委託事業で行った調査(以下、平成23年度委託事業調査)でも介護人材の不足を訴える施設が圧倒的多数であることが確認されている。

 ▼地域包括ケアシステムの構築に向けて質の向上が大きな課題

 介護専門人材をめぐる課題は「量」だけでない。平成23年度委託事業調査でも明らかとされたが、現場が求めているのは業務を主導できる中級レベル以上の中核的人材であり、「質的不足感の充足」が大きな課題となっている。実際のところ、介護職員のうち介護福祉士資格の保有者は2006年頃から増加傾向にあるものの2008年現在で31.7%という水準に留まっている。

 今後、介護職員の質的充足感を高めていくためには、介護福祉士取得を支援していく必要がある。現在、介護を含む福祉サービスを関係者が連携して地域住民のニーズに合わせて一体的に提供する仕組み「地域包括ケアシステム」の構築が急がれているが、介護福祉士の育成と確保は、高度化・複雑化する地域ニーズに対応した質の高い介護・福祉サービスの提供へとつながっていくはずである。

 ▼介護福祉士取得の潜在ニーズとキャリアパスの明確化

 介護福祉士に係る法改正で介護福祉士の地位・専門性がより明確化されることとなった。これにより国家資格としての位置付けや評価は確実に向上するものと考えられる。

 また、介護福祉士の上位資格として認定介護福祉士も設定されることとなった。これは他職種との連携など幅広い知識・技術を備え的確な介護を実践できる人材である。これにより新任者(初級スタッフ)から中級、上級に至る介護職員のキャリアパスが明確化されたことから、今まで以上に介護福祉士の取得をめざす職員が増えていくものと予測される。

 ▼本事業の意義

 前述の通り、高齢社会が加速度的に進行している中、介護サービスの質向上やそれを支える介護専門人材の育成・確保が急務となっている。特に、高度化や多様化が進む介護の現場では、中核的な専門人材としての介護福祉士の活躍に大きな期待がある。介護福祉士資格に係る法改正や、介護専門人材のキャリアパスの明確化は、質の高い介護専門人材の育成と確保に向けたものであり、今後はその具体的な取り組みが急がれるところである。

 介護の実務経験者が「介護福祉士」へとキャリアアップすることを支援する本事業は、このような介護分野の人材育成をめぐる動向にキャッチアップし、中核的な介護専門人材の育成と介護サービスの質向上という社会的要請に応える取り組みである。

② 上記(2)の取組が求められている状況、本事業により推進する必要性

 ▼現役介護職員でも学べる環境整備の必要性

 介護福祉士に係る法改正により、介護福祉士を受験するためには最大450時間に及ぶ実務者研修の受講が定められた。既に受講済の研修により受けなければならない実務者研修の時間数には違いはあるものの、現役の介護職員にとって働きながらの受講は大きな負担となる。結果として、それが介護福祉士の増加の大きな阻害要因となってしまう可能性は否定できない。これを解消するためには働きながらでも学びやすい学習環境を整備・提供していく必要がある。

 実務者研修では対面式の研修の他、スクーリングを含めた通信教育も認められているので、現役介護職員を対象とする場合、通信教育を軸とするアプローチが有効である。具体的には、通常の印刷教材による教育にIT(情報通信技術)を活用したeラーニングをブレンドすることで高い教育効果が見込めるものと考えられる。eラーニングには通常の通信教育の利点の他、以下のような強みがあるためである。

  • 高い双方向性
     メールやコミュニティなどを通して質問や相談、意見交換ができる
     (郵便やFAXに比べて即応性が高く多人数に投げかけることもできる)
  • マルチメディアによる臨場感
     動画や音声などを活用することで文字や静止画では得られない体験的学習ができる

 ▼多様な学習者(現役介護職員)に配慮した学習ユニット方式のeラーニング

 実務者研修は全体で450時間という学習体系だが、受講者の研修修了実績により受講内容は一律とはならない。未経験者・無資格者の場合には450時間すべてを受けなければならないが、ヘルパー2級取得者では320時間、ヘルパー1級は95時間の受講で済む。

 このような多様な受講ニーズに応えるためには、実務者研修をひとつのパッケージにするのではなく、教育テーマ・内容ごとに独立的な学習ユニットを基本構成とし、受講者が選択できる構造にする必要がある。eラーニングの場合、技術的な仕組みとして学習内容(コンテンツ)のモジュール性が高いので、きめ細かい利用者ニーズに柔軟に対応できるという特性を有している。

 ▼eラーニングを活用した通信教育の必要性

 高齢化の進展に伴う介護の高度化や複雑化の要請に伴い、介護職員の一層の質向上が望まれている。そのためには、現在3割程度の水準にある介護福祉士有資格者を増やし個々のスキルアップを図っていく必要がある。

 法改正により介護福祉士を受験するためには実務者研修を一定時間数受けなければならないが、介護業務に従事する傍ら最大450時間の研修を受けるのは大きな負担となり、これが有資格者増の阻害要因ともなりかねない。

 その解決に向けて有効なアプローチがeラーニングを活用した通信学習環境の整備と提供である。個々人のペースで学習を進めることができる通信学習環境は、多忙な介護職員にとって有用な学習手段になるものと考えられる。特にeラーニングの双方向性やマルチメディア性を活用することで効果的で効率的な学びの促進が期待できる。

(4)事業の実施計画について (連携体制、工程、普及方策、期待される活動指標(アウトプット)・成果目標及び成果実績(アウトカム)等)

▼連携体制

 本プロジェクトは介護人材・看護人材養成コンソーシアム下の職域プロジェクトとして活動を進める。活動進捗や成果を定期的にコンソーシアムの報告し、その評価に基づき計画や活動内容を改善する。また、コンソーシアム下の他の職域プロジェクトとの円滑な連携を図っていく。 プロジェクトの全体計画、運営管理、品質管理などは事業推進主体である実施委員会が担当する。

 ニーズ調査の実施、eラーニングモデル教材の開発、実証授業の運営・評価の各実作業は、実施委員会の下部組織として編成する調査分科会、開発分科会、実証分科会がそれぞれ担当する。各分科会は定期的に中間成果及び進捗状況を実施委員会に報告し助言を得る形で作業を進める。

 分科会とは別に、実施委員会の下部組織として研究会を設置する。研究会はeラーニングの専門家・有識者で構成し、各テーマについて検討すると共にその結果を報告としてまとめ実施委員会に提出する。実施委員会はこれを参考に本事業の推進並びに次年度以降の活動計画の検討を行う。

▼工程
 7月8月9月10月11月12月1月2月3月
実施委員会          
分科会              
調査        
eラーニング開発      
eラーニング評価            
成果発表会            
▼普及方策

①成果発表会
 介護人材・看護人材養成コンソーシアムによる合同成果発表会にて、本事業の成果を発表する。
 日本介護福祉士養成施設協会の協力を得て、首都圏の介護福祉士養成施設(養成校)に対して開催を広く告知する。併せて、都内を中心とする介護施設に対しても開催を周知する。
事業成果はすべてオープンにし、利用希望者に対しては成果物を配布し利用を支援する。更に、事業終了後もeラーニングモデル教材を利用できる環境を整備する。

②日本介護福祉士養成施設協会などとの連携
成果報告会後も日本介護福祉士養成施設協会などの組織・団体と連携し、積極的に成果の公開・利用促進の機会を作っていきたい。

▼アウトプット

①調査報告書
②eラーニングモデル教材(実技学習・座学型学習・知識定着型学習)
③eラーニングモデル教材評価報告

▼アウトカム

①実務者研修の受講ニーズや課題などに関する調査結果は、今後、実務者研修を提供する場合の有効な検討資料となる。
②実務者研修における効果的なeラーニング教材の開発に際して、eラーニングモデル教材を参照モデルとして活用することが可能となる。

(5)事業終了後の方針について

▼通信教育システムの構築

 介護人材・看護人材養成コンソーシアムとの連携体制の下で、新たなプロジェクトを立ち上げ、今年度のeラーニングモデル教材に対する検証結果を踏まえて、「実務者研修」に対応した3系統のeラーニング教材を構築・整備する。
 ① 実技学習のeラーニング
 ② 座学型学習のeラーニング
 ③ 知識定着型学習のeラーニング

 平成25年は日本介護福祉士養成施設協会による「実務者研修」テキストが順次整備されていくが、このテキストとeラーニング教材との組み合わせによる通信制「実務者研修」での活用を具体化していく。

 内容面では高度な領域への展開を図る。具体的には、医療的ケアや認知症ケアといった領域についてもeラーニング化を進め、介護現場の高度化ニーズに対応していきたい。

 併せて、通信教育課程として450時間の「実務者研修」を運営する標準モデルの策定も行う。ここでは、専門学校における通信制・単位制の仕組みを基盤とし、専門学校の各種リソースを有効活用して、多様な社会人(現役介護職員)の学習ニーズに応えられる運営制度を構築していく。

▼達成度の評価と単位認定
 eラーニングによる学習の達成度を評価し、それを単位認定(履修証明書の発行や単位互換、正規課程との読み替え等)する効果的な学習システムのあり方について、本年度の事業の成果としてまとめ、看護についての職域プロジェクトの成果と併せて、次の発展的な取り組みに役立てていく。

▼成果の普及促進
 中核的な介護専門人材(介護福祉士)の育成は地域に依らず喫緊の課題であることから、今年度の成果は、機会を捉えて積極的にオープン化し、多くの関係者と共有を図っていく。また、導入・利用に向けた支援体制も整えていきたい。

▼キャリア段位制度との連携
 現在、検討が進められているキャリア段位制度の動きを追いながら、キャリア段位制度と本取り組みとの連携を模索していきたい。

成果物